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E-mail (電子メール)の仕組み

目次

  1. E-mailの概要
  2. E-mailの配達屋 SMTP サーバ
  3. 私書箱係 POP3 サーバ
  4. 情報の倉庫屋 IMAP4 サーバ
  5. メールを使うに際にするべきでないこと
参考
ドメインネームシステム(DNS>
E-mail(電子メール)はDNSと関係が深いので、DNSについて理解して置くと 以下の内容がより理解できます。

E-mail が届くまで

E-mailはどうやって届く? 私たちが送るE-mailはどのようにして相手のコンピュータまで届くと思いますか? 近所の郵便ポストに入れた手紙が相手に届くまでには、いろんな仕事をする人が 関わります。ポストの郵便物を回収する人、仕分けする人、目的地に運ぶ人、 郵便配達をする人などたくさんの人が仕事をして、手紙が届きます。 これと同じように、E-mailが届くためにも、コンピュータ上で動く いろんなプログラムが関わっているのです。
送信時に使うSMTP 通常みなさんがメールを出すと、そのメーラー(メールのツール)は SMTPサーバに指定されているマシンのsendmailというプログラムに メールのデータを渡します。この SMTP によりメールは宛先のホストに届けられ、 そのホストのスプールに蓄えられます。
受信時に使うPOP3 このスプールに蓄えられたメールを私たちの使うパソコンに取り出すのに 使われるのが POP3 サーバです。
サーバ上でメールを管理できるIMAP4 インターネットプロバイダによっては、メールを取り出すのに IMAP4 サーバを 用いることもできます。この IMAP4 は POP3 では不便な点を解決する機能を 持っています。例えば、サーバ上にフォルダを作ってメールを保存したり、 マルチパートのメールのある部分だけを取り出したりできます。 IMAP4はこれから広く普及する可能性があります。

E-mailの配達屋 SMTPサーバ

メールアドレス まず、E-mailがどのように届くかを述べるまえに、E-mailアドレスについて 書きます。アドレスは fujiki@kitakyu-techno-ctr.co.jp のような形をしており、 @の左側はユーザ名、右側はメールホストの名前を表します。この例は kitakyu-techno-ctr.co.jp というメールホスト(メールを蓄えるホストマシン)の fujiki というユーザを表すアドレスです。 一般の郵便で言えば、メールホストの名前が住所でユーザ名が宛名に当たります。

e-mailを出す際には、宛先(To:フィールド)に、このe-mailアドレスを指定して 送ります。

SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) パソコンからメールを送信すると、そのメールはSMTPサーバに 渡されます
この際になされる通信の実例

ここで渡されたメールは多くの場合、SMTPサーバであるホスト上の sendmailというプログラムで処理されます。この sendmailでは 次の処理を行います。

  • 宛先アドレスが自分のホストである場合
    • ユーザ名がエイリアス(別名)であるか確認し、そうであれば書き換えて、 そのメールを処理し直す
    • ユーザ名がそのホストのユーザ名であれば、そのユーザのメールのスプールに そのメールを追加する

  • 宛先アドレスが自分のホストでない場合
    • sendmail.cf を見て、このメールの宛先に関する特別な処理が指定されて いたら、それに従って処理する(uucpなどの場合)
    • 上に該当しなければ、 DNSを用いてメールアドレスのホスト名のMXレコードを引いて、 そこで得たホストにメールを転送する。
この例は最も一般的な例と思われますが、sendmail.cf(sendmailの設定ファイル)の 設定によってはこれ以外の動作をします。
このように、sendmailは自分のホストのユーザ宛のメールはスプールに格納し、 他のホスト宛であれば、宛先のマシンに届くための経路上の 次の SMTP のサーバにメールを転送します。

IP接続されたマシンであれば、MXで引いた情報を元に 直接、宛先ホストに届くことがほとんどですが、 そうでなくても(UUCP使っている場合など)転送を繰り返すと宛先の SMTP サーバに到着します。そして、宛先のホストのSMTPサーバは ユーザのスプールにこのメールを蓄えるのです。

私書箱係 POP3(Post Office Protocol Version 3)サーバ

メールサーバに届いたメールはそこに保存される メールサーバのスプールまで届いたメールはその後どうなるのでしょうか。 メールサーバにメールが届くと、そのサーバは宛先のユーザのパソコンが つながっている電話に電話をかけて、メールをそのパソコンまで 届けてくれるのでしょうか。もしそうだとすると、 サーバに届けるパソコンがつながっている電話の電話番号を 教えておかなければなりません。さらにメールが届くパソコンにはモデムにつなぎ、 メールサーバから電話がかかってくると自動応答するように設定しておく 必要があります。でも、これだとユーザが電話回線を1回線このために 確保する必要がありますし、パソコンを24時間運転しておく必要があります。 さらにメールは外出先でISDN公衆電話で接続して読みたい場合にも対応できません。 携帯電話やPHSではこれらの問題がなく、メールが端末(端末)まで届きます。

それで、パソコンの接続サービスを提供しているプロバイダは サーバに届いたメールを保存しておいて、 ユーザが取りに来た時にそれを渡すようにしているのです。 ユーザが取りに来るまで、メールはサーバのディスクに蓄えられるので、 自宅のポストに配達されて届く郵便というより、 郵便局の私書箱に届く手紙に似ています。

POP3はサーバに保存されたメールを取り出すプロトコル この私書箱まで届いたメールはOutlook や Becky などのメーラー (メール扱うためのソフトウェア)を使って、 サーバと通信してメールを取り出します。 クライアントであるメーラーはサーバに対して、自分宛のメールが 届いているか問い合わせたり、届いたメールを取り出したり、 削除したりします。 この際に、メールを保存しているサーバからメールを取り出すための プロトコルがPOP3なのです。このプロトコルにおける、クライアントから 送るコマンドとその応答は rfc1081 で規定されています。 POP3サーバとの通信例については、telnetを使った POPサーバへの接続 をご覧ください。

情報の倉庫 IMAP4(Internet Message Access Protocol Version 4)サーバ

一人で複数パソコンを使う場合POP3では不便 今ではモバイル環境が整い一人の人が複数のパソコンを使うことが めずらしくなくなりました。このような環境で、メールを使う場合には POP3では不便な部分が出てきました。

例えば、会社のマシンでメールをサーバから取り出して、 それを自宅でも読みたいし、自宅でも読みたいというケースがあると思います。 さらに、出張先でメールを確認したい場合もあるでしょう。 このような使い方をしている場合、どのメールまで読んだかは 各々のマシンで管理しているので、別のマシンで受信すると 別のマシンで読んだのに、「新着メール」となってしまいます。 さらに同じ情報が複数の場所に存在することになり、 ディスク領域の無駄が発生する可能性があります。

また、PDAや携帯電話などでメールを確認する場合、記憶容量の少ない これらの機器でワープロ文書や画像などが添付されたマルチパートの メッセージがあると、容量的に大きなこれらのものをダウンロードするのは 負荷が大きいですし、ましてこのような画像やワープロ文書を扱うことの できないPDAなどにこれらを取り込むこと自体無駄なことです。 こんな時には、添付された内容は無視して、メールの本文だけを取り出せれば 便利です。でもPOP3ではメッセージ単位(メイル1通単位)でしか 取り出せないのです。

IMAP4はこれらの問題を解決する これらの問題を解決するのがIMAP4です。IMAP4にはPOP3にない次のような特徴があります。
  • メッセージをサーバに保存する
    これにより記憶領域の無駄を省くことができ、PDAのような 記憶容量の少ない機器でもパソコンと同様に利用できるようになります。
  • サーバ上にフォルダを作ることができる
    複数のメールボックスを作ったりフォルダを作ることができるので パソコンのメーラーと同じようにメールを管理できます。
  • ユーザがどのメールまで読んだかはサーバで管理する
    別のマシンでメールを読んでも、新しく届いたメールを正しく把握できます。
  • メッセージの一部を指定して取り出すことができる
    マルチパートのメッセージの添付部分をダウンロードしないことなどが可能となり、 無駄な通信時間を省くことができます。
  • 他のユーザとのメッセージを共有したり、ネットニュースなどのアクセスに対応できる
    IMAP4に対応したメールのツールを使って、他の人と情報を共有することや、 ネットニュースに対応することができる。(ただしサーバがそれらをサポートしている場合)
  • 差出人、宛先、キーワードを指定してメッセージを検索することができる
    メールやネットニュースなどは情報の宝庫ですが、これらを検索することができ、 一種のデータベースとして用いることができます。
このようにIMAP4を使えば、同じ情報を複数コピーして記憶容量の無駄にすることを避ける ことができ、またサーバで必要な情報を探し、必要な部分だけを取り出すことができるのです。

IMAP4はこのような有利な機能を持っているので、今後広く使われる可能性があります。

参考になるサイト
次世代メールプロトコルIMAP4

メール使いの道徳

メールを使うにもルールがある メールを使うにもルールがあります。やってはならないことを やる人がいるので困ったことです。このようなことをする人たちを なくすために、このページを見てくださったみなさんも 初心者を教える機会があったら以下のような内容を 含めてくださればうれしく思います。
チェーンメール チェーンメールとはこのメールを受け取った人が転送を繰り返し、 ねずみ講式に増殖する意味のないメールのことです。 例えば、「このメールを受け取った人は10人の人に この内容を含むメールを送らないと不幸になります」といった類のものです。 このようなメールを受け取ったら決して転送してはいけません。 絶対に無視してください。

以前と違って、チェーンメールでネットワークの負荷を圧迫して、 ダウンするということはないかもしれませんが、意味の無い 有害なこの手のメールは出してはならないものです。

SPAMメール また、大変迷惑なメールにSPAMメールといわれるものがあります。 これは同じ内容のメールを大量に送るもので、 「あなたもこれで何百万円稼げます!このリストにある口座にお金を振り込み、 最後に自分の口座を書き入れ、多くの人に転送しなさい」といった マルチ商法まがいのものや、企業広告やダイレクトメールなどがあります。 依頼者が望まないのに、送られてくるこのようなメールをSPAMメールと言います。

このマルチ商法まがいのものはチェーンメールにつながりますし、 これに参加することは犯罪です。絶対にこの手の行為に参加してはなりません。

アドレスの偽造 最近ではSPAM対応のsmtpサーバを使っているプロバイダが多くなり、 アクセス制限を行うことができるようになりましたが、それでも smtpサーバはユーザ認証を行わないのでアドレスの偽造ができる場合が あります。

例えば、アクセスの許可をもつサーバの他の人のメールアドレスを メーラで設定し、あたかもその人がメールを出したようになりすます ことなどが考えられます。

smtpサーバはポストのようなもので、どのポストに投函してもメールが 届くという仕組みだったのに、今ではポスト投函制限をしなければならない 時代となって、残念なことです。

もしみなさんが誰かにメールの使い方を教えるようなことがあったら、 このような問題を起こさないように教えてあげてください。 私はふさわしいネットワークの利用がなされていくことを願っています。

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